森のキモチ「福寿草‐命名‐アイヌ」

「花!もう花が咲いてる。なんて花なの?」
「リッちゃんだったらどんな名前を付ける?」
「シンちゃん花の名前知らないの?うーん。はる、きいろ、はな」
「春黄色花。なるほど。見たまんまだね。とっても分かりやすい。大人だったら春黄花なんて難しい名前にするかもしれないね」
「はるきばな?シンちゃんだったら?」
「リッちゃんが春の最初に見つけた花」
「そんな名前のつけかたあるの?」
「花とかにも学名と言って世界共通の名前がある。世界共通の名前はそんな名前の付け方をする。見つけた人の名前を花につけたりするんだ。この花の日本での呼び名は福寿草」
「ふくじゅそう?」
「そう。福寿草。元日草とも呼ばれる」
「がんじつそう?」
「お正月に咲く花だから元日草。新しい春をお祝いする花として幸福をよろこぶと書いて福寿草」
「難しいね」
「イトウの草という名前もあるんだ」
「イトウ?」
「そう。この花が咲いた頃にイトウという大きな魚が卵を産むために川を上ってくる。だから、イトウの草」
「だれが付けたの?」
「アイヌ」
「あいぬ?」
「昔からこの土地に住んでいる人。イトウを捕って暮らしていたアイヌに、イトウが川を上って来る頃を知らせてくれる花なんだ。ここではお正月にはまだ寒くて咲かないし」
「ふーん。じゃあ、イトウの草の方がピッタリだね」

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