「あそこにもこいミドリのはっぱが広がってる」
「あれも山菜だ」
「なんか山菜だらけだね」
「でしょ。森にはこんなにたくさんの食料があるのに、テレビのニュースでは世界の食糧危機を心配している。もちろんこの山の山菜は食料としてカウントされてないけどね」
「しょくりょうきき?」
「これからどんどん人間の食べ物が減って行って世界中で奪い合いになると言うんだ」
「お店にもいっぱいあるのに?」
「そう。信じられないよね。でもそうならないとは限らない。だからリッちゃんも、ちゃんとこの森で食べられる物を覚えといた方が良いよ。これは6月頃まで食べられるかな?」
「なんて言うの」
「採ってごらん」
「ちっちゃなトゲがいっぱい生えているね」
「チクチクしない」
「うん。ちょっと」
「後でもっとチクチクしてくるよ。アリ酸という成分?を出してるんだ」
「ありさん?」
「アリが持っている毒。アリに触っても同じようにチクチクすることがある。同じ毒を持ってるんだ。触るとチクチクしてイライラするからイラクサ」
「イラクサ?」
「そう。エゾイラクサ。自分が生き延びるために、アリ酸という毒を出すんだ」
「ホントだ。チクチクしてきた」
「今の人は生きるためにどれほどの毒を出しているのかな?毒を出さなくなった人が増えたように感じる」
「リホはドク出してるでしょ?」
「うーん。ちょっとね」
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