釧路新聞社発行のフリーペーパー「えぷろん5月号」で森林インストラクター・環境カウンセラー山中慎一朗の~ココロとカラダいつもキレイにすこやかカルテvol.3 ハチ 蚊 アブ ブヨ虫さされ~が掲載されました。私の大量文章をとても簡潔に構成していただきました。素晴らしいです。
以下が基原稿です。ご参考にしていただければと思います。
(心得)
~虫は自然の血液です~
自然界からもし虫がいなくなったら植物の種類が減り、野鳥や動物もいなくなるでしょう。虫が豊かな自然をつくっているのです。「虫がいてくれてありがとう」と思う気持ちで自然を楽しみましょう。虫がいる自然の中で私たちは遊ばせてもらうのです。樹液が出ている所などの虫がたくさんいる場所を避ける心づかいも必要です。
私たちの命にかかわる虫はハチです。それ以外の虫で死ぬことは今のところ少ないでしょう。ハチに刺されると命の危険はふくらみますが、アブ・ブヨ・蚊では刺されることによって虫さされに強い身体になることもあります。「何に刺されたらどうなるのか?」と自分の体質を知ることも大事です。
(予防)
まずは格好から入ります。(他の虫も同じです。左イラスト参照)ハチは暗い色に反応しますので、明るいアースカラーで身をつつみ、長袖長ズボンで肌の露出を避けます。明るい色の帽子で髪の毛をすべて覆い、首には白いタオルをまいて、最も狙われる襟足を守ります。手首が長い手袋で袖口からの侵入をガードするのがポイントです。ズボンの裾もしめればダニよけにもなります。
香りの強い香水や整髪料はハチを誘引し危険です。お化粧も控え目に。
防虫スプレーはハチには効果が無いと思います。ハチには無臭が最も安全です。
明るいレンズのサングラスをして、防虫ネットをかぶれば完璧ですが、自然の気持ちよさが半減するかもしれません。
甘い香りのするジュースや酒類は避けて、刺された時に洗い流せる水やお茶を携帯しましょう。
(飛んできたら)
自然界にハチがいるのがあたりまえです。肝に銘じておきましょう。
1匹のハチでしたらエサを探しているのでしょう。姿勢を低くして飛んでいくのを静かに待ちます。身体のどこかにハチがとまってもじっと我慢です。手を出さなければ飛んで行ってくれます。
複数のハチが飛んでいる場合は、巣やエサ場が近くにあるということです。姿勢を低くして静かに来た道を戻ります。ハチの動きをよく観察すると巣のありかがわかる場合もあります。巣の場所がわかった時は巣から離れましょう。
私はスズメバチの巣から2mまで寄っても刺されませんでした。その時は巣に気づかなかったので慌てず騒がず離れました。ハチに敵ではないと思ってもらうことが大事です。
ハチに刺されても慌てず騒がずその場をゆっくり離れましょう。騒いで走ると血圧が上がり毒のまわりが早くなります。
(ハリ抜き)
スズメバチ等はハリが残りません。ハリが残っている場合は指先で弾き飛ばすように取り除きます。ハリの中に毒が残っていて、ハリをつまむと毒が体内に入る場合があります。毛抜きでつまむ時は最も肌に近い部分を。
肌の中にハリが残った場合は病院に行くことも考えましょう。
(毒抜き)
刺された場所を流水ですすぎ、つまんで毒を出します。口で吸ってはいけません。口から毒が入る可能性があります。毒吸引器(1,050円~)の携帯をおススメします。命にかかわる器具としては安いものです。毒吸引器は連続してポンプアップするのではなくピストンレバーを引きあげたら60秒ほどそのままにしておきます。レバーを押し下げ数回繰り返して、出てきた毒を流水ですすぎます。タンニンは毒を抑えますので、お茶ですすぐことも効果的です。応急処置でその後は大きく違います。
(薬を塗る)
タンニン軟膏、抗ヒスタミン剤やステロイド系抗炎症薬の軟膏があれば塗るのも効果的です。アンモニアが効くというのは迷信です。おしっこはかけないように。
(冷やす)
冷湿布などの清潔な冷やす物があれば、刺された場所を冷やすのも効果的です。なければ触らずほっておくのが一番です。手でかくと化膿することもあります。
(危)
ハチは、種類や刺された回数、体質などでアナフィラキシーショックという急性アレルギー反応などを起こして、場合によっては死に至ることもあり大変危険です。刺されて10数分後ぐらいまでに症状が現れます。体温の上昇などが見られたら急いで病院に搬送してください。
医師の処方で、アナフィラキシーショックを補助的に緩和できる自己注射器(エピペン)を携帯できます。有効期限は1年で15,000円程です。
刺されたハチの大きさ、色、形を覚えておくのも、その後の処置には大事です。
スズメバチは個体数が最大になる9月前後がもっとも危険です。地元の方のハチ情報のチェックも大事です。
(アブ)
ブンブンと曲線的に飛ぶウシアブはスズメバチに似ていますが、ハチ類は直線的に飛びます。ハエを細長くしたようなメクラアブが道東のアブ代表です。どちらも目が大きくハネがハチよりも幅広です。
身体にとまってから数秒でかじりますので、その間が勝負です。アブと認識したら手で払うか叩きつぶします。ハチでしたら飛び立つまでそのままじっと我慢です。
アブにかじられても命にはかかわりません。手でかいて化膿することもあるのでほっておきましょう。体質によりさまざまですが、薬に頼らず身体を慣らすことも必要かと。
(ブヨ)
ハエを小さく丸くしたブヨ。ブヨにかじられると流血をともなうので、顔がボコボコの血だらけになります。防虫スプレーも蚊取線香もほとんど効きません。
防虫ネットが最適です。白いネットは目がチラチラしますし、黒いネットはブヨが寄ってきます。モスグリーンのネットがおススメです。
袖口が狙われますので、手首の長い手袋でガードしましょう。足首からも侵入しますので裾もきっちり閉めましょう。ズボンの中に入ったら厄介です。
私はかじられても一度も薬を塗ったことはありません。指先で押さつけてかゆみと痛みをのりこえます。
(蚊)
蚊には防虫スプレーが効くかと思いますが、蚊は自然界ではそれほど気にならない存在です。都会育ちの人は蚊には強く、ブヨに弱い。田舎育ちはその逆と感じますがいかがでしょうか?
アイヌはヨモギをいぶして虫除けにしました。キャンプの時に一度お試しください。
かゆくてもかかずに軽く叩けば化膿することはありません。
(ヌカカ)
体長が1mmほどの最も小さな厄介者です。防虫ネットもくぐりぬけて侵入します。最も網目の細かな防虫ネットをおススメします。
※虫さされの症状は体質、体調などにより個人差があります。医師の診療も視野に入れて自己責任でご対応ください。
森林インストラクター・環境カウンセラー・CONE(自然体験指導者)インストラクター 山中 慎一朗 さん(釧路市)
釧路管内唯一人の森林保護を専門分野とする環境カウンセラーです。ブログ「ゆ&りYuToRi」でボランティアからプロガイド、森林セラピーから環境教育と多彩な森林活動を紹介しています。どしどしメールでお問い合わせください。
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