森のキモチ「法律」

法律
「シンちゃんって今まで何か悪いことをしたことがあるの?」
「もちろんあるよ」
「どんなこと?」
「いろんな悪いこといっぱいしてきたよ」
「ケンカとか?」
「そうだね。ケンカもした。でも、それは悪いことなの?」
「そうでしょ。先生はケンカをしたら怒るよ。ひとをはたいたら怒るよ」
「そっか。それはだれが決めたの?」
「うーん。だれ?」
「わからない。人を叩いたらいけないと決めた人を探してもきっと見つからないよ。それがこの国の決まりなんだ」
「変なの」
「そうだね。でも、人が決めたことには間違いない。人以外の生物は全て生きるか死ぬか、食べられるか食べるかで生きてる。叩くか叩かれるかなんてレベルじゃない。命をかけて生きている。どこに行きたいんだろ、人は?」
「どこって?どっか行っちゃうの?」
「人の生き方は、ずっと自然が決めてきた。日本では二千年ぐらい前から人が決めてきたのかな。今はそれが当たり前になっているけど、それがホントなのかな?」
「ホントでしょ」
「そうなのかな?人が決めたことは必ず変わるんだ」
「そうなの」
「そうだね。今も戦争をするような軍隊がいけないことになっているのに良いことにしようとか、軍隊は良いけど戦争はいけないとか、むちゃくちゃだよ。毎年のように人が決めたことが変わっていくんだ」
「ケンカが良くなったり、悪くなったりするの?」
「そうだね。それが人が決めたことなんだ」
「それじゃ大変でしょ?」
「もちろん。そんな大変な中で人は生きてるんだ。だから僕は自然界の中で生きてる。人が決めたことは信じていない。もちろん日本で生きているから守らなければいけないことは守るけど、最後は僕が決める。それが生きることだとわかったんだ」
「大丈夫なの?」
「それはいつかわかるよ。人が決めたことが変わらなくなった時に。たぶん何が生きることなのか本当にわかった時か、人が生きる意志が無くなった時かな。そんな時が来ることはきっとないけどね」

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