森のキモチ「クマゲラ‐第六感」


「だいろっかん?」
「そう。勘だね。勘がさえるっていうでしょ。その勘。その勘も季節と共にあったと思うよ。森を五感で感じましょうって良く言うけど、それだけじゃ足りない。六感で感じるんだ、森は」
「ろっかん?」
「僕もリッちゃんもいつどこの森を歩くのか決めている。何の目的もなくただ歩くだけだから、どこの森でもいい。けど、決めなきゃ歩けないから決める。それが僕たちの六感なんだ。なんとなく、気分で歩く森を決める。森を歩こうと決める。とても大事な要素なのにそれは勘で決められる。僕は富良野に行った時、朝、裏山を歩いてみようとふと思った。三十分の散歩でヤマゲラとオオアカゲラとクマゲラに出会った。こんなことはもう二度と体験できない様なすごい鳥たちなんだ。富良野の森はすごいと思ったけど、その森を朝歩こうと思った僕も同じようにすごい、と気づいた。これが第六感で森を歩くことなんだ」
「ふーん」
「森はただそこにあるだけですごいんだけど、その森のすごさを感じるには森に立つ自分もすごくないといけないんだ。とってもスピリチュアルなんだ。森は」

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